愛も希望もつくりはじめる:今、「加藤さん。」なスピッツ3曲
加藤シゲアキさん、30歳の誕生日おめでとうございます!
「NEWSメンバー×スピッツ」で勝手なお祝いとさせていただきます。
個人的に、加藤さんには、とても”人間くさい”人だなぁという印象を抱いています。「我思うゆえに我あり」的な感覚の。…デカルトとか全くわかってませんので、ニュアンス。
ただし。その前に告白しますと、実は私、加藤さんの物書きの仕事に全く触れておらず(汗)アイドルとしては違うかもしれないけれど、作家としては自分個人以上に作品を好きになってほしいくらいだろうに…申し訳ない。それでなくても、何もかもチェックしているわけではないし、勉強熱心でもないのでおこがましいですが、あらかじめ「そういうヤツに見えている加藤さん像」なんだなという心づもりで読んでいただければ幸いです。他のメンバーについても同様のことが言えるのだけど、特に自分の作品として世に出しているものに触れないでいたら、かなり深度が浅いことになるので、前置きしておきます。私に見えている加藤さんも加藤さんの一面であるとは思うので書くには書くが…お詫び。
お祝いのにぎやかし程度になれば!
と、いうことで「我思うゆえに我あり」的とは何かという話を続けます。
加藤さんて、自分が傷ついたり失敗したり後悔したり、そういう一般的には”負”とされるような感情をとても大事にしようとしますよね。近いところではNEVERLANDツアーで声の調子が悪くなってしまった時も、自分を追い込み過ぎでは?と思うほど”反省”する姿を見せていました。J-webとか、確かラジオでも。(”反省”じゃなく”参考”と言うべき?)他の何かのためというよりも、「自分への戒め」*1 だと言いながら。こんな姿を見せることを求めていないファンもいるだろうこともわかった上で、あえて見せる。「恥さらしな文面を読んでくださり、ありがとうございました。」*2 とまで言って。おもしろい人だなぁと思います。
自分のことをさらけ出すためには、それを自覚して咀嚼する必要がある。とても客観的な姿勢を感じます。自分の感情に形を与えたり、名前をつけたり、別の角度から見てみたり、あえてもやっとしたまま置いておいたり。自覚できていることも自覚できていない状態も全てを自覚していたい、という感じが「我思うゆえに我あり」的印象につながるのだという気がします。まさに”人間”ゆえの。そして自分の感情が大きく動いた瞬間を逃したくないのではないかとも思います。生々しく強い感情がわくような体験って早々ない。そういう感情の動きはプラスにもマイナスにも簡単には分類できないような貴重な体験であるわけです。だからそれを見つめるのがたとえつらい作業でも、一方ではそこに挑みたいんだろうな、と。どうにもならない感情とそれを見つめる客観的姿勢とが入り乱れた鮮やかな状態で。この能力と関心が、作家としての加藤さんの力なのですね、きっと。(その作品を読んでないものだから、ふわっと。)
そういうわけで、今回曲を選ぶにあたって重視したのは、「人間くささ」と「客観的な態度」です。
1.今一番「加藤さん(美しい系)」な曲
『サンシャイン』(アルバム『空の飛び方』収録)
個人的「スピッツの美しい曲ランキング」の上位にいつもいるような曲です。美しさにも色々あるけれど、この曲は硬質なイメージ。ごちゃまぜで勢いがある動的美しさというより、厳選した静的な美しさと言うか。曲調はやわらかいんですけどね。
困らせたのは 君のこと
なぜかまぶしく思えてさ
少しマイナス方面の感情から入るところが 、なんとなく合うかしら、とも。ものすごく大切な感情をちょっとひねって伝えるような。
すりガラスの窓を あけた時に
よみがえる埃の粒たちを 動かずに見ていたい
良いっすね。「よみがえる埃の粒たちを 動かずに見ていたい」って…。
私は埃が光に舞う様子を思い浮かべるのですが、そういう光景はとりとめのない日常の一コマ。ましてや「埃」は一般的には価値がなくむしろマイナスのイメージさえあります。しかし言われてみると、埃に光が反射してきらめく様子に心動かされた感覚を呼び起こされる。(たまに見とれる派なもので。)
加藤さんの、人には無価値だと言われたりしそうな感情にまでこだわるところと重なる気がします。
許された季節が終わる前に
散らばる思い出を はじめから残らず組み立てたい
こちらもこだわりを感じる一節。
「人間くささ」と「客観的な態度」がそろっており、夏の曲としてもばっちりということで選曲。
2.今一番「加藤さん(ユニーク系)」な曲
『ウィリー』(アルバム『フェイクファー』収録)
ちょっとシニカルでユニークな感覚も加藤さんの持ち味な気がしています。悪い意味ではなく。客観的に自分を見てしまうからこそ、ちょっとおちゃらけたり、興奮したり、子どもっぽいなんて言われそうなところを見せてくれる感じ。少しの自虐スパイスを入れながら。そんなところも加藤さんの要素としてイメージしてみました。たぶん加藤さん自身はどんどん率直な方向に向かっていると思うのですが。
サルが行くサルの中を
人間を「サル」と表すのは、いかにも”人間”。
選んだのはこの点につきます。(歌詞で見る限り冒頭しか出てきていないですが、かなりここのフレーズ繰り返します!試聴では切れてますけど!(泣))
草野さんの伸びのある声が気持ちいい。
だんだん止めたい気持ちわき上がっても手に入れるまで
もう二度とここには戻らない
ウィリー 孤独な放浪者いつかはウィリー届くはずさ
詞も曲調もユニークでありながら、真摯。スピッツはそういう曲の宝庫だと思います。
誰かに言っているような、自分に言っているような。
加藤さんの、時折自分を客観視しながら確実に歩んでいるところを思い浮かべながら。
3.今一番「加藤さん(脱皮系)」な曲
『春の歌』(シングル『春の歌/テクテク』、アルバム『スーベニア』収録)
加藤さんがこれまで積み重ねてきたものが、ご本人も言うように確実な自信になってきているそうですね。そういう心境にぴたっとする曲ではないかと思います。詞は全部ピックアップしたいくらい。
重い足でぬかるむ道を来た トゲのある藪をかき分けてきた
食べられそうな全てを食べた
ここは加藤さんがとにかく自分にできることを探し求めた頃のイメージがだぶりました。
長いトンネルをくぐり抜けた時 見慣れない色に包まれていった
実はまだ始まったとこだった
一つの扉を開けると、新しい景色と別の扉が現れる、そんな感じ。
今の加藤さんも一つの大きな扉を開けて、新たな扉に向かっているのかも。
「どうでもいい」とか そんな言葉で汚れた
心 今放て
平気な顔でかなり無理してたこと 叫びたいのに懸命に微笑んだこと
朝の光にさらされていく
忘れかけた 本当は忘れたくない
君の名をなぞる
これらの描写は自分の感情を一歩引いて見つめて、さらにそれを越える意志を感じさせます。
歩いていくよ サルのままで孤り
そう、実は『春の歌』にも「サル」が出てくるんです。『ウィリー』の頃よりは、確実に一段上がっている様子に、「ウィリー、ここまで来たんだね…」なんて感慨深くなってしまう。この「サル」は自分ですね。
春の歌 愛と希望より前に響く
春の歌 愛も希望もつくりはじめる
この力強さが今の加藤さんだなぁと感じます。どこかにある愛や希望じゃなくて、もっと良いも悪いもないような生命力あふれる何かを求めて。
かなり有名な部類の曲を持ってきてしまったことが、くやしい(笑)けど、今の加藤さんに合うなーと思ったので観念しました。増田さんとアルバムが2枚もかぶってしまったし。しかも「春」だしなー。…精神的な「春」ということで。
30歳の加藤さんには平和をテーマにした歌番組のMCや『グリーンマイル』といったヒューマンな舞台もひかえているのですね。今の加藤さんのイメージにすごく合っているなぁと思いました。(実は『グリーンマイル』もまだ観たことないんだけどね…←)
ということで、29歳の加藤さんは私の中ではこんなイメージになったよ、報告でした。
30歳が加藤さんにとって更なる飛躍の年になりますように★彡
はい、通例の余計なプチ宣伝いきます!
今年はスピッツの結成30周年(ドラムの崎山さんの加入30周年の噂も)。加藤さんと手越くんはスピッツとタメなわけですね!そう考えると本当に長い時間。
スピッツは目下全国ツアー中です。各プレイガイドにてチケットの抽選販売や一般販売の機会も残っているようなので、もしご興味あればぜひ。結成30周年ツアーですので、普段のアルバムツアーよりも比較的メジャーな曲がそろっており、スピッツ曲を網羅していなくても聴きなじみがある曲がきっといくつかは入っているかと!!…がんばってもなかなか取れないんだけどね(涙)
では。