キラキラの方へ。

しがないミソジのゆるふわ雑記

霧と風とバスタブと(猫):今、「小山さん彡」を感じるモノたち

小山さん、34歳の誕生日おめでとうございます!@一昨日*1

昨年は「×スピッツ」として、私がその人に抱いているイメージと重なるスピッツの曲をあげて勝手に誕生日祝いとしていましたが、今年はさらに謎なことをしていきたいと思います。それは「×アート作品」という試み!我ながらなんて謎な…(汗)

やってみての結論は「めちゃくちゃ難しい」。作品のことも作者のことも理解がまるで足りないから、自分の印象を語るのみ。ザル状態の理解で書くほど恐ろしく、かつ恥ずかしいことはない。きっと後で見返したら恥ずかしいことこの上なし。しかーし、やってみます。やってみたくなってしまったので。誰の得にもならないが、ただ私の楽しみのために。←

 

小山さんは言葉を操る人なのに、パッと思い浮かんだのは、不思議とどれも言語化できないような”雰囲気”をまとった作品でした。その他の候補として”風景”がモチーフになっている作品もあったのですが、こちらも”雰囲気”とか”空気感”を感じる作品でした。小山さんを具体的な物に例えてイメージしようとすると、どうしても「本当にそうだろうか?なんだか違う面もあるような?」という落ち着かない気持ちが生まれて、「これだ!」と言えそうなものを見出せなくて。

小山さんって「ちゃらいw」って思うときも確かにあるし、「あざといw」ってときもある。誕生日のJ-webやラジオもなかなかの軽やかさでしたw*2

だけど、なんとなくふわっとした雰囲気を感じてしまう。それは必ずしも悪い意味ではなく、”やわらかい”というか”やさしい”というか、そういうことでもあります。

小山さんは他者に何かを強く押し付けたりしない。相手を立てる、相手の意見を聞く、そんな姿勢がありますよね。だから相手によって色の異なる『KちゃんNEWS』ができるのだよね。それは話し方や物腰のやわらかさから受ける印象もあるのかもしれません。

そこに、常に相手と一定の距離を保っているような感覚もあって、”軽く”とか”適当に”あしらっているように思えてしまう時もたまーにある(笑)でもそれは、こちらがちょっとさみしく思って駄々をこねているようなもの。小山さんはその時々に全体のことを考えて対応してくれているのだと思っています。(メンバーだけの時なんかはゆるゆるだったりするのかもだけどw)

ちなみに私は小山さんに対しては心配しがちなタイプ。すぐ「小山さん、大丈夫かな?」って思っちゃうw 小山さんにころがされてるのかも、と思いながらも。私が心配したってしょうがないし、心配する必要もないって思うんですけどね。*3

なぜ心配しがちになるかというと、小山さんはなんだか”気にしい”な人のような気がしてるから。でも”気にしい”な自分をさらっと流せる、自分の感情を”大人に”処理できる人のような気もする。流せる技を身につけた人、というか。ふわっと傷ついて、でもふわっと自分で修復して…。でもやっぱり本質は”気にしい”。そんな感じ。(何を言ってるんだろうか。)

それと、小山さんはすごく素直な人に思える。実際に素直なんだろう。でも…小山さんは簡単には人に心をひらかなそう。小山さんに心底嫌われたらきっと一生許してもらえなさそう。けれど表面上はやさしく接してくれるようなこわさがありそう。でも小山さんはそこまで人を嫌いになることはほとんどなさそう。嫌いになりそうだったらその人をうまく避けそう。繊細な自分に意識的にベールをかけていそう。…私の抱く小山さんイメージはそんなとりとめのないものです。

”強い”とか”弱い”とかって一概には言えないものだと思うのですが、小山さんは特にそれが複雑に存在している人のような気がします。例えば、自分の弱さを克服しようとぶつかっていくばかりが強さではないですよね。弱みを自覚して、それをうまく回避して強みの方へ持っていったりすることも一つの強さだと思います。したたかな強さ。小山さんはこのあたりが器用そう。でもね、器用なんだけど、本人が意識しないところにバグが溜まっていってしまいそうで心配になるのです。気がつかないうちに疲れてないかな?いっぱいいっぱいになってないかな?とね。まぁ、だとしても、きっちりしっかり消化しているとわかっていますよ?夢の国に行ったりしてね?w 仕事人だもの。だから勝手に心配してるだけなんだけど。

私には小山さんについて語ることがひどく難しい。(誰についても同様ですが汗 どこまで行ってもバイアス越し…。)小山さんという人物は層のようになっていて、めくる度に正反対に感じる面が見えそうな、あやうい魅力がある気がします。きっと素直な人なのに、状況によって色々な技を出し入れしているから?私がつかめてないからそう感じるだけなのかもしれないけど。あくまで個人的な、今の、印象です。

 

では、いよいよ作品をあげながら、その作品のイメージと小山さんのイメージについてからませる方法で進めまーす。

ちなみに、一つ条件にしたのは、自分が見たことのある作品であること。実際に見たなら「私はこう感じた」と主張できるかなと。感じ方は自由ですからね…。その時の私はそう感じたんだから…。いいじゃないか…。(始める前に逃げまくる)*4 

 

1.「小山さんの包容力」について

中谷芙二子《氷河の滝-グリーンランド2017/フォグノズル、高圧ポンプシステム、制御システム一式、上水/サイズ可変『氷河の滝-グリーンランド』は、毎時15分、45分に自動発生

↓8:50頃~をご覧ください。

www.youtube.com

「グリーンランド」 中谷芙二子+宇吉郎展 | HERMES - エルメス公式サイト

銀座のエルメスなんて入れるご身分の人間じゃないんですけどね(デフォルトが卑屈)、ギャラリーがあるのでごくたまに行きます。ドアマンがいるんですよ!!ひ~。だから「私はギャラリー目当てなんで!」と強く念じて入ります。店員さんの目だって気にしないさ~。(心配ないさ~♪のテンションで。)でも店内では立ち止まらずにエレベーターに直行。この一連の流れには慣れたけど、ギャラリー以外の階はいまだに見たことがない…。

と、どうでもいい前置きはうっちゃって、エルメスで見てきたのがこの「霧の彫刻」と言われている作品。私は今回が初鑑賞でした。映像を見てもらえるとわかるとおり、一定の間隔で霧がシュワーと排出されて、部屋中を満たすと排出が止まり、徐々に霧が晴れていく、というのを繰り返す作品です。目の前が少しグレーがかった光に満たされていき、すぐ近くにいる人も見えなくなる。そして、霧が晴れて行くにつれて人影が見えてきて、こんなに人がいたのかと驚かされる。霧の中で1人ぼっちになって、心細いような自由になったような気持ちがして、徐々に人が見えてくると、この状況を一緒に体感していることに妙な親近感を感じたりもしました。 霧の有無やそのうつろいによって空間や周囲との関係性が変わったように感じるのがおもしろかったです。

この作品のどんな部分が小山さんのイメージと重なったのかと考えると、包まれるような雰囲気かなと。やさしく見守ってくれているんだけど、意外と冷静で、必要以上に接触はしてこず。だけど安心感で満たされているような、場がしっかりと制御されているような。(なんだかMCっぽいw)で、すっと引いていくところなんかも小山さんっぽさを感じます。小山さんって主張しすぎず、存在感を出したりひいたりできる人のように思うから。

 

2.「小山さんの繊細さ」について

内藤礼《精霊》2009年(2006年-)/リボン/幅11mm×長さ7790mm(2本)/神奈川県立近代美術館 鎌倉 中庭

内藤 礼 すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している:神奈川県立近代美術館<鎌倉館>

↓最初の方にリボンの作品がゆれる様子が。豊島美術館の作品なので、上記の作品とは異なるのですがイメージとして。

www.youtube.com

けっこう前に見た作品なので、ほんのりとした印象が残るばかりなのですが、リボンが空気に運ばれてふわりふわりと動く様がなんとなく残っています。自分の中では言語化されずに感覚として残っていた記憶がこの度引っ張り出されました。

こちらの作品からは小山さんの繊細さと、そこにある強さのイメージが導かれる気がしています。繊細さと強さ。風に吹かれながら変幻自在に形を変えつつ、でも素材は変わらないような。小山さんは色々感じて努力して変わって行ってはいるのだけど、それがとてもしなやかなのではないかと思います。

ちなみに豊島美術館にも行ったので、映像にある作品も見ているのですが、神奈川県立近代美術館で見た作品の方が「小山さん」感を感じました。神奈川県立美術館の空間の方が一般的な建物っぽいからかもしれません。豊島美術館のような、この作品のための空間ではないので、どこか不似合いで居心地が悪いような、しっくりこないようなところに繊細さと強さをより感じるのかな。豊島美術館の作品はもっと生命の源泉とか祈りのようなところに意識が行きやすく、神奈川県立近代美術館の作品は人工物と(例えば都市)と人間や自然の関係性とか緊張感に意識がいきやすいのかも、というようなことを考えたりしました。あと、よく覚えていないのですが豊島美術館の方はリボンの両端がとじられていて、神奈川県立近代美術館の方は片側がつられているような形だったようですね。片側が自由に動くほうが複雑な動きをする気がします。(写真を見てもそうだし。)そんな動きから受ける印象もあるんだろうな。

 

まず、この2作品が私の記憶からピックアップされました。そしてこの2作品レベルで小山さんと重なる作品が思い出せずにしばらく苦悩w ちなみに、偶然にも両方日本人女性アーティストの作品なんですよね。だからどうってことではないのですが。さらに、最後にひねり出した3つ目の作品も日本人女性アーティストになりました。無理にまとめたわけじゃないんだけどね?(ちょっとウソ)

 

3.「うれしそうな小山さん」について

曽谷朝絵《Bathtub》2001年/パネルに油彩/164×226cm

Oil 5 / Painting & Drawing / Asae Soya

↓この展覧会で見たのではないのですが、貼り付けた状態でも作品が見れたのでぺたり。

www.fashion-headline.com

VOCA2002でVOCA賞を受賞しているアーティストなのですが、実は自分がこの作品をいつ見たのかはっきりと覚えていないんです…。2002年のVOCA展ではなく、その後の別の機会に見たような気がします。それまでにこの作品の写真を見たことがあって、ようやく本物を見られた、と思った記憶があるので。

平面作品ではあるけれど ”雰囲気”や”空気感”を感じさせる作品です。今はインスタレーションも手がけているアーティストなので、空間的な関心は平面作品にも現われているのかもしれません。

うれしそうな小山さん、ってこんな感じかな、こんな感じだったらいいなって思いながら選びました。水分が似合うと思う。小山さんの満ち足りた幸福感には。…なんとなく。

…ということで、

今年も小山さんがこんな気持ちになれるような出来事や場所がたくさんある1年になりますように

 

霧やバスタブ、私が抱いている小山さんのイメージには湿度があるのかも?

繊細な雰囲気の作品が並びましたが、強さに裏打ちされた”やさしさ”があるように、これらの作品にも物質的な確かさとは相反する強さがあると感じています。

それと、私が小山さんをそういう風に見たい時期なのかも(笑)ストレスためずに自分を大事にしてほしいなぁと願っています。

きっと他の方が違う面の小山さんのことを書いてくれているだろうから、私は私の感じる小山さんを。…でした。

 

最後に、昨年のなごり!(今思いついただけなので、他のメンバーではやらんかも~←適当)

今一番、小山さんとリンクする…かもしれないスピッツ

『猫になりたい』収録:シングル『青い車』1994、アルバム『花鳥風月』1999

↓ …視聴部分の切り方にセンスを疑う。←心の声をあえてもらしてみました。

猫になりたい

猫になりたい

  • provided courtesy of iTunes

猫になりたい - スピッツ - 歌詞 : 歌ネット

いわずと知れたスピッツの名曲です。私調べ。(…てないけど。)

「消えないようにキズつけてあげるよ」とやさしく言ってくるあたり小山さんみ…と妄想するとたまりません。キリッ。

 

*1:今年も遅れちゃったよ~。ごめんよ~。

*2:それにしてもちょっと「肉食肉食」言いすぎじゃあないかね?w 一般的な”性欲がある”状態と「肉食」と言うほど”性欲がある”状態は違うと思うのだけど。ちゃんとそっちの意味で使ってるのかな?同じ”モテたい”でも、人の心を惹きつけたいというのと、相手の身体を直接的にモノにしたいっていうのは違うと思うし…。”好き”にだって色々な種類があるし、性欲がわくような相手のことだっていつでも何でも受け入れられるものでもない。肉欲を満たすことは解放や発散としては必要かもしれないけれど、もっと違う意味でも自分自身を大事にしてほしいなーと老婆心ながら思うのです。アイドルの力になる欲ではあるかもしれないけれど、アイドルの魅力ってそれだけではないはずだから。だって性欲の対象にならなくなったらアイドル終わりってことはないよね?身近に感じるかっちょいい兄ちゃん、尊敬する表現者、できる仕事人…そういった憧れの対象にだってなりうるんじゃないかな。ごめん、否定したいわけじゃないんだ。ただ、それだけじゃないんじゃないかってね?…この頃色々あったからなんだか長く書いちゃった。推考した言葉じゃないので脚注に。本筋からずれてるし…。はぁ。

*3:これ似たようなことをいっつも書いてるな…汗

*4:書くためには、改めて情報を調べたりすると、その作品を感じなおすことになるのですね。その時感じたことがぶれていそうで、なんだか難しかったです。

舞い散る桜に息をのみ、『AVALON』に思いをはせたい

前置き:以下は、NEWSの最新アルバム『EPCOTIA』収録の『AVALON』という曲を桜の季節が終わる前にプッシュしたい!という心意気で書き始めたものの、気がついてみると『AVALON』をめぐるあれこれを取りとめなく書いているだけになっていた…と、そんな記事です。

そんなんですが、参加させていただきます!いつもありがとうございますっ。

お題「NEWSアルバム『EPCOTIA』レビュー」

 

///

EPCOTIAツアーがスタートしましたね。一ヶ所目の札幌、どうだったのかなー?これから続く各地でもステキなライブになりますよう☆☆☆☆ *1

私が年度末にのまれてあっぷあっぷしている間にうれしいお知らせが次から次へと舞い込んできて、テレビも雑誌もわんさかあって、15周年にすでに置いていかれ気味…(汗)そんなんじゃダメだーっ的な今日この頃でしたので、季節モノ(?)の『AVALON』だけ、急ぎ。桜前線は今どのあたりなのだろう?

 

AVALON』と言えば。

Avalon」とはケルト神話アーサー王が傷をいやすためにつれていかれた、あるいは埋葬された伝説の島だそう*2。ちなみに語源からAvalonに咲くのは林檎という説があるそうだけれど、NEWSのAvalonには桜が舞っています。

さて、いきなり脱線。「Avalon」という言葉、偶然にも昨年知ったばかりでした。それは『amiinA』(あみーな)という女性二人組アイドルのアルバムと曲のタイトルとして*3。アルバムのアートワークもすごくかわいいのです。ジャケットを開くとamiinAAvalon島が現われる*4。メンバーのamiちゃんは狼、miyuちゃんはカナリアというイメージ が歌詞やダンス、アートワークに広がっているってところも、ちょっとNEWS演出との縁を感じてしまいました*5。NEWSは毎回大幅にイメージを変えてくるから、イメージを継続しているamiinAとはまた違うけれど。

というわけで、事前に別の『Avalon』を聴いていたため、NEWSの『AVALON』はどんな曲になるんだろうか…と余計に興味が高まっていました。

 

曲を聴いたときに。

AVALON』を初めて聴いたのは『KちゃんNEWS』。フラゲ日だったのだけど、CDはまだ聴けていなかったし、オンエアは私にとっては寝耳に水。「ええっ待って!まだ心の準備が!!今聴く?聴いちゃう??」という感じで心がワサワサしたまま聴きました。聴き終わって、加藤さんがNEWSの新しい桜ソングと言っていた(たしか)のにも驚きました。私が思い描く一般的な「桜ソング」とは違っていたので。そして、しばらくは恋愛系の曲なのだろうと漠然と思っていました。*6

ところがどっこい。歌詞を見てびっくり。”応援歌”だと思えたからです。こんな”応援歌”もあるんだなぁとぐっと来てしまいました。NEWSってやつは!*7 かと言って”応援歌”だけにも限らない。時期的には”卒業ソング”とも受け取れるし、やっぱり広い意味での”ラブソング”と言っても差し支えないだろうと。しっかり「春」という季節に寄せて、確かに「桜ソング」でありながら、読み取り方を限定しない。その在り方が、ふわっとした花散るイメージとも相性が良い気がしました。

曲として好きで、詞を読んでさらに好きになるというのは、私的には最高の流れ。

それにしても、こういう曲(の詞)って「Don't think. Feel!」ですよね。もう野暮に思えるくらいなんですけど…少し考えたことだけ書き留めておきます。

 

詞のこと。

AVALON - NEWS - 歌詞 : 歌ネット

はじめにGoogle翻訳氏に丸投げした結果だけ貼っておきます。ちゃんとした訳としてではなく、ニュアンスをざっくりつかむ材料として!ちょっと意味が通じにくいとか、分割した方がGoogle翻訳氏にはやりやすそうだと思った部分は分割してみています。それと、間奏については、音の効果としてあえて断片的に書いていると思われる部分を勝手に削除したりつなげたりしていますー。

1番~間奏

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2番

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私の英語力では「Get down in ur heart」が難易度高い…。「ur」は「your」のスラング(俗語)だそうなので、「Get down」もそうした表現?「Don't follow me, Don't follow the crowd」からの流れなので、”自分の心に従え”的なことなんだろうか。どなたか~(泣)

 

主体は誰?

突然ですが、「風に背を押され」「踏み出」し「旅立とう」としているのは誰なんでしょう?歌い手自身が行動や気持ちの主体なのかと思いきや、実はそうでもない。それは英語部分を読んでわかりました。「You are on your own」「Go find your way to Avalon」のように、主語は「You」。歌い手が「You」の状況を描写したり語りかけ呼びかける詞になっている模様。主語があいまいでも成り立つという日本語の特性を、意識的に英語と対比させて活用しているのかな?

では、歌い手と「You」はどんな関係なのだろう?と。歌い手の情報が登場している部分は、「寂しくなったら Come back here 時空 飛び越えて」「Don't follow me」「We gon' Blast」「ここへおいで We'll meet again at Avalon」「涙 溢れたら Come back here 記憶 手繰って」あたり。

「『せえの』で踏み出すけど You are on your own」「Don't follow me」なので、スタートは同時かもしれないけれど、その後はバラバラに進むことになるのだと読み取れます。だけど「We gon' Blast」「We'll meet again at Avalon」からは、共に何かに立ち向かい、同じ場所を目指す”戦友”のような存在に思える。そして「寂しくなったら Come back here」「ここへおいで We'll meet again at Avalon」とか言ってくれる。なにこの自立しつつも、いざとなったら支えてくれる関係。ステキじゃないかー。

 

「Come back here」の「here」と「ここへおいで」の「ここ」は同じ場所なのか?

「寂しくなったら Come back here 時空 飛び越えて」の「here」は「Come back」する、つまりこれから過去になる場所。「涙 溢れたら Come back here 記憶 手繰って」の「here」も同じ場所だと思われます。凹んだ時に「時空 飛び越えて」「記憶 手繰って」戻る場所。「here」は現在地であり、今まさに旅立とうとしている場所なのだろうと読み取れます。

それで、どこへ向かうのかというと「Go find your way to Avalon」、つまり”Avalon”=目的地。

でも、ちょっと混乱しませんか?なぜなら「here」は過去になる現在地を指していたはずなのに、「ここへおいで We'll meet again at Avalon」での「ここ」は目的地であるはずの”Avalon”になっているのです。

そこでヒントになりそうなのが「未来と過去」。「未来と過去 つなぎに旅立とう」「未来と過去 行ったり来たりしよう」という詞です。つまり”Avalon"は未来(旅の目的地)でもあり過去(旅立ちの地)でもあるということなのではないでしょうか。

 

Avalon"とは何なのか?

Avalon"は、やっぱり理想や理想郷のような存在を指すのだろうと感じています。夢や希望などと言い換えてもいい。でも、”Avalon"は未来でもあり過去でもあるというのがちょっと複雑なところ。”未来”の目的地としての”Avalon"というイメージは問題なくしっくりするのですが、では”過去”に存在する”Avalon"とは?それもちょっと考えてみたいと思います。

まず一つ目にイメージしたい”過去”の”Avalon"は、自分の”動機”のようなもの。つまり何かの理想をもつきっかけになったり影響を与えた体験や場所や関係性の記憶。悩んだり迷ったりしたら原点に立ち返る、という表現をする際の「原点」と言ったら良いのかな?そのように捉えてみた場合、『AVALON』で歌われているのは「理想(目的地)に向かって進みだそう、でも気持ちが弱るときがあったら自分の理想(動機・原点)を見つめなおしてね」的に思い描けます。

このイメージは「卒業ソング」にもぴったり。「笑い声は」に続く部分も、卒業っぽい。

二つ目の”過去”の”Avalon"は、ドラマ『anone』で例えてみていいですか?ネタばれしてるので、これから見る方は飛ばしてください。しかもドラマの説明は省いてます(汗)半ば自分用メモ…。自分にとってフレッシュなネタを入れておきたいという欲望…。

『anone』の広瀬すずちゃん演じるハリカちゃんの台詞に「大切な思い出って支えになるし、お守りになるし、居場所になるんだなって、思います」*8 というものがありました。でも、ハリカちゃんの支えになっていた幼少期の”幸せ”な思い出は、自分で無意識に塗り変えた”ニセモノ”の思い出だったことが早々に発覚。現実に起こったことは彼女にとって居場所になるようなものではなかったのでした。そんな彼女の支えは、SNSでのコミュニケーションや擬似家族的関係になっていきます。そうした”本物”ではないと言われてしまうような関係(の中にある”本物”)が、それでも彼女を支えていく。そして最後には、その支えが”ニセモノ”から”本物”に変化。痛みは伴ったものの、彼女自身が”本物”の現実に生きているハリカちゃんになり、また擬似家族の人々とも一緒に何かを乗り越えた結果、未来に続く”本物”の確信がある関係になったのかなと感じました。

”過去”の”Avalon"って、例えばこんな居場所、家族やコミュニティのような存在と捉えても良いかもしれないと思いました。それは過去でもあるし、更新していきたい、自分が新たに築きいていきたい未来でもある。一つ目にあげた動機や原点とも重なりますが、もうちょっと具体的な存在としてイメージしてみました。

最後、三つ目、”Avalon"の一つに位置づけたいのはNEWSです。(何でもNEWSにつなげたがる病。)NEWSは歌い手であり、ファンの人たちと同じ時代を生きている”戦友”です。そして、自分が見聞きし体験した音楽や映像やライブなどの記憶の中の存在(過去)でもあり、先の希望をくれる存在(未来)でもある。「Come back here」「ここへおいで」と呼びかけるNEWS自身が”Avalon”であり「here(過去)」「ここ(未来)」であると捉えると、この呼びかけにぴたっとはまります。

NEWSはその人にとって大切な想いを保持し、未来にわたって具現化していく存在。

そして、この『AVALON』という曲自体も、大切な過去になり、これからも戻れる未来になっていく。

まぁ、詞の全体に一番合致するイメージはやっぱり一つ目かなーと思いつつ←。でもこうやって思いめぐらせてきたのは限定したいからじゃないのです。自分の好きなように捉えればいいじゃない!この部分は、どうしてもこういう思い出と重なる!とかだっていい!私も色々な聴き方でその時々の”Avalon"に想いをはせることにします。(結局。)

 

AVALON』の詞って全体的に使用単語が甘さ控えめですよね。「TearDrops」が少々甘めなくらい?かわいらしいイメージがある「Cherry」に合わせた「Dust」とか「Ash」も効いてるなぁと思います。

ちなみに、2番のAメロは一気に世界が広がっているので、自分なりのぴったりくる落とし込み方法をゆっくり探りたいです。安易だけど、コミュニティ的”Avalon”とかけ合わせると、難民問題とも重なって感じたり。だけど私自身の知識が浅いのでもうちょっとしっかり考えたいかな。(「Angels come along」って『あやめ』だぁ。)

あと、「一枚の欠けらでも」に続く部分に力をもらえるってことと、イメージがぶあっと広がる「花時のアヴァロン」という言葉がものすごく好き、とだけ書き記しておきたい。体言止めが想像を広げる余白になるのかなー。

 

 NEWSと桜ソング。

ところで、NEWSの桜ソングに何か共通点のようなものはあるのかな?とぼんやり思いました。

一般的な「桜ソング」と聞いてパッと思い浮かぶのは、個人的には『さくら(独唱)』『桜坂』のようなナチュラル系の曲です。桜の美しさと儚さをベースに、時期的な要素である卒業(別れや旅立ち)をかけ合わせているイメージ。プラス和テイストだと『春よ、来い』*9 とか。『さくらガール』は、大きくはここに分類されるかもしれません。私の中では。

では『ミステリア』はどうかと考えると、桜のダークネス方面のイメージが強い。死や狂気のイメージ。『夜桜お七』の系列?ちなみにこのイメージには、文学作品、梶井基次郎『櫻の樹の下には』*10(1928年)、坂口安吾桜の森の満開の下*11(1947年) の影響が強いんだとか。*12 日本っぽい感覚なんでしょうか。『ミステリア』も歌謡曲テイストだし。

そして『AVALON』を聴いて思い出したのは、宇多田ヒカルさんの『SAKURA ドロップス』でした。内容ではなく、桜×ピコピコだからかな。

それと、両曲が持つ美しく儚く切ない桜のイメージが重なりました。宇多田さんの桜ってどうしてこんなに切ないんでしょうか。宇多田さんの桜、とか言いつつ、他には『桜流し』しか把握してない人間ですけど。宇多田さんの桜イメージ、けっこう好きです。(『さくらガール』は内容的にはここかも。)

そしてピコピコ系はやはりファンタジー感が増す。でも『SAKURA ドロップス』は心象風景のようで、『AVALON』は自分が立っている世界が抽象化されているような…うーん、そんな違いも感じました。

このように、NEWSの桜ソングは各々のイメージがけっこう違う。同じような曲を作っても…となるのだろうから、そりゃそうか。(私の脳ミソ検索では、桜が直接登場する曲は上記にあげた『さくらガール』『ミステリア』、そして『AVALON』なんですけど…。他にもあるようだったらごめんなさい!)

でも3曲に共通する部分もあるように思いました。それは「散る桜の美しさ」。『さくらガール』では儚げに舞い、『ミステリア』は夜に妖しく、『AVALON』は強い風の中で、という印象。

桜(主にソメイヨシノの花)の歌は、開花の季節、盛りの期間の短さ、散る様子*13等々…どういう面をピックアップするかでイメージが変わるし、「桜」という一言で多層的なイメージを付与できるのがおもしろい。

 

改めて『AVALON』を聴く。

加工された声が絶妙だなぁと思いました。特に手越くんの声は加工と相性がよい気がする!キレイ!増田さんの声は加工されるとさらに音に溶けていきそう。そして加藤さんと小山さんの声って、人間の声っていう印象が強いんだなぁと。良い意味で声に人肌の湿度がある。加工された声を聴いても、生身の人間が音源にいるんだなと思う、と言うか。対して、手越くん増田さんの加工した声って、元々こういう”音声”として存在しているのかも、と思える。無機質にもなり得る声だと感じました。(説明下手が悪化してる。)楽器のような手越くんと増田さんの加工声と、生身感がしっかり残る加藤さん小山さんの加工声、両方でバランスが取れているのかなと。もっと加工して全体を似通わせることもできるんだろうけど、そこまでしないところにジャニーズっぽさがある気もしました。個々の歌い手を大事にするよね、ジャニーズは。っていう勝手なイメージ。

そして、何と言っても、音から空間的イメージを感じるのがすごく好きです。音と詞のイメージが混ざり合って、心の中に光景が広がる。

まずイントロでは声のしてくる方向が楽しい。声の「欠けら」がチラチラ現れては消える。そしてイントロから「CherryDust」に入る前の、どこからか近づいてきてぶあっとぶつかってくる風のような音(シンバルなのかな?)が良い。他にも1・2番のBメロ(?)「一枚の」「一人でも」の前にも入ってくる。でもこの風は自分にぶつからずに上空に吹いたのかも、と妄想。始まりのときよりも音がやさしく広がるので。

風によって舞い散る花びらをイメージさせる音も素敵です。1・2番のBメロ(?)では舞い落ちてくるイメージ。3回目の「一枚の」の静けさ、大サビ前の一瞬の静寂もぐっとくる。間が…すごい。(語彙力。)

間奏は、まぁしぶい。ノイズが入るように、増田さんが途切れとぎれに歌うのがおもしろいです。実は詞を読む前は、間奏にシャレオツ音楽的スパイスの圧迫感のようなものを感じていました。(なんじゃそりゃ。)かもし出す”黒さ”が、桜の光と影の面、一筋縄じゃいかないイメージの幅を演出しているのだろうとは思いつつも、どうしてもオサレ感が迫ってきて←。でも、増田さんはかっこいいし、間奏明けの手越くんへの流れがすばらしいのでOK!くらいの感じでした(何様?)。でも、詞とのかねあいで、その意義が理解できたような気がしています。

 

なぜかリリックビデオの話。

あのね、NEWSもリリックビデオ作りません?

リリックビデオの存在を知ったのが、Youtubeにおススメされて昨年偶然見た時、という浅い知識なんですけどね。強く押したい。開放された音源をアルバムから2曲くらいつくってほしいなーなんて。

ちなみに、今年グラミー賞の最優秀賞新人賞を受賞したAlessia CaraとDJ(音楽プロデューサー?)のZeddの『Stay』のリリックビデオでその良さを知りました。↓コレ。

www.youtube.com

歌詞が中央にシンプルに出るだけなんだけど、MVよりも曲と映像の距離感が格段に好きです。*14

NEWSメンバーが出ないとなると、それはそれで完成度を上げるのが難しいだろうと思うけれど。どうなのかなー?アルバム購入やレンタルのきっかけになったりしないのかなー?「NEWS、意外とイイじゃん」(←誰?しかもなんか古い…汗)みたいなことにならないのかなー?

で、You、Youtubeチャンネルで公開しちゃいなよ、ってね。(もう作ってたらごめんなさいー。)

 

脱線ついでに。

記事を書くにあたり桜の写真を撮ってみたら、私が撮ってもキレイなんだなーとうれしくなったので、ここにペタリ。(後で、すごく恥ずかしくなりそうな予感がする…汗)鈴木理策さんのもどきのもどきのもどきのイメージで。

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↑見えるかな(汗)何気に花びらが一ひらあるのですー。

ソメイヨシノの花びらが大量に吹き溜まっているところも何気に好き。もう少しほしいかな。

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桜を絵や写真で表すことは難しいと聞いたことがあります。それには共感してしまう。特に二次元の表現に、私の中の桜のイメージに近い作品は見つけにくいので。私にとっては桜は空間的、あるいは時間も含めた四次元の存在なのかもしれません。

でも、中にはいいなぁと思う桜もあって、その一つが鈴木理策さんの桜です。

SAKURA | 鈴木理策

凛としていて、可憐。被写界深度が浅い(ピントの合う範囲が狭い)桜、いい。

AVALON』の桜は勢いよく散っているようなイメージがうかぶので、鈴木理策さんの桜が曲のイメージにはまると言いたいわけではないのだけど、私の”Avalon”に咲く花はこんなだったら良いなーと思ったりします。ちなみに写真撮影中、後ろから突風が吹いて花びらが流れてきたときに、すごーく『AVALON』味を感じました。

 

 

以上、『AVALON』いいわー、って記事でした。たぶん。

はー、勢いでつめこんだから内容があちこちに飛んでしまって、いつも以上にまとまらない記事になってしまいました。長いし。わー最後まで読んでくださった方、ありがとうございます…。真っ白に燃え尽きたよ…。(弱い)

さーて、ライブに行かせてもらう前に様々な情報に追いつかねば!そしてアルバム『EPCOTIA』についても書けたらいいなぁ(ハードル低め設定)。よーし!

では。

 

*1:私信ですが、お誘いをいただいたおかげでライブにおじゃまできることになりました。お誘いいただいた方に深く感謝です。今回は行けないという方も多いのではないかな…。私にできることは、とにかく楽しむことだと心得て行ってきます!(いや、アウトプットをがんばるべき?!)

*2:出典なしで失礼します!追々どこかから引っぱってきます。→「Avalon」について追記します~。2018.5.4

「リンゴの島」の意味.ケルトの楽園で,西方の海の彼方にある.そこでは神々や英雄たちは不死のリンゴを食べて生きていた.

山下主一郎訳者代表『神話・伝承事典―失われた女神たちの復権―』(大修館書店、1988)66ページ

事典にはこう書かれているのだけど、それを描写している文献が見つけられなかった…。とりあえずアーサー王伝説の中に登場しているところを一部。

しかし、かの高名なる王アルトゥールスもまた瀕死の重症を負い、そこから彼の傷を治すためにアヴァロンの島へ運ばれた。

(「アルトゥールス」はアーサー王のこと。)
ジェフリー・オヴ・モンマス(瀬谷幸男訳)『アーサー王ロマンス原拠の書 ブリタニア列王史』(南雲堂フェニックス、2007)321ページ

王は船の中から答えて、「安心せよ、わしの命数は尽きた、わしはアヴァロンの島(the Isle of Avalon)へ行って、この痛ましい手傷を癒すのじゃ」と言う。
(中略)
なおある人々の言うところによると、アーサー王は死んだのではなく、ただある地に身を隠したばかりである。いつか王が再び世にあらわれて、イギリス全国を支配する時が来るとその人々は言っている。しかし多くの人々の言伝えによると、王の墓には、次の銘が誌されていたという。「ここにアーサーは眠る、一たび王であり、更にまた王たるべき」

中島孤島『世界神話伝説体系38 イングランドの神話伝説』(名著普及会、1929)287-289ページ

*3:Profile - amiinA Official Web Site ちなみにグループ名は「awake mind into ideal naked Avalon」の略(頭文字)で「空想の世界『Avalon』に飛び込もう」という意味なんだとか(空想の世界『Avalon』にあなたも飛び込もう! ──amiinA・プロデューサー、齊藤州一インタヴュー - OTOTOY) 曲にも”ケルト音楽”と言われる要素がふくまれてます。なお、グループ名の元々の由来は当時のメンバーの名前の合体なのだけど、メンバーが変わったので意味を更新したようです。

*4:伝説の島が姿を現す!amiinA、特殊仕様のアルバムジャケット公開 - 音楽ナタリー

*5:amiinA「Avalon」インタビュー|大きな夢に向けて築いた“楽園” (2/3) - 音楽ナタリー 特集・インタビュー いつかamiinAのライブで『Canvas』のコールをしてみたい。気持ちよさそうなのだもの。音源のコールも実際にファンの方々が歌っているのだそう。

*6:詞のことばかり書いてるけど、詞は後で読むようにしておりまして。まずは全体を感じたいなぁと。詞を知る前後で二度おいしい、みたいなのもありますし!

*7:NEWSチームってやつは!Ryohei Yamamotoさんってやつは!

*8:記憶がへろっているので http://news.nicovideo.jp/watch/nw3203186 より。せっかく良いドラマやってたのにじっくり考えられなくてもったいないことしてる…。

*9:実は「桜」が登場しない←

*10:井基次郎 桜の樹の下には

*11:坂口安吾 桜の森の満開の下

*12:これネットでチラ見しただけの情報なんで、そういう説もあるんだ~とゆるく受け取ってください。両方ともおもしろいから書いちゃうけど。ちなみに桜のダークネスなイメージを私に埋め込んだのは、文学ではなくCLAMPの『東京BABYLON』です。てへ。読み返さないとストーリーが思い出せないくらい遠い記憶になってしまったけど。このマンガのせいで(違う)、長年「桜守」にミステリアスなイメージをもっていた…。

*13:花びらが1枚ずつ散るというのも桜の特徴なんだとか。

*14:これ、もうインスタレーション作品じゃないですか?本当に鏡を運んで撮影したのかな?自然相手だから、手法はシンプルでもかなり大変なのではないかしら。人が鏡の角度調整しているところなんかを想像するだけでたまらん。それとも鏡や光の部分は合成なの??だったらちょっと悲しいけど、それにしたら良くできてる。

幻が醒めてしまうまで:『madoromi』がまどろめるのは

マイペースに『madoromi』について書いておきたいと思います。入国ラッシュが落ち着いてきたであろう今、…と書いていたらアルバムと連動キャンペーンの情報までがどどっと押しよせてきた今、なんですけれど。実は私まだちゃんと入国してないんです(汗)めずらしく少々立て込んでおりまして、気持ちが持っていかれてしまうと仕事に支障が出るかもしれない…という恐れから。(単に時間の使い方と気持ちの切り替えがヘタなせい。)で、ようやく少し余裕ができたので、ぼやーっと考えたことを入国前に書いておこうと。専門的でも何でもないから、「『madoromi』やばい。」の一言以上の意味があるのかどうかわからないけど、いいじゃないか、素人があれこれ考えても。ってことで、よろしくお願いします。
あ、『madoromi』とはNEWSのシングル『LPS』の通常版に収録されている曲です。(みんな知ってる。)

 

まずは私の感想から。
ざっくり『madoromi』の空気感が好きだなーと思っています。奥底に何か抱えながら、最終的には羽根布団みたいなふわっとした存在感になっているところが、すごく。羽根布団じゃ情緒がないけど、相手を包み守りあたためて、けれども圧はない、そんなところが。まどろみだけに☆(うまいことは言っていない。)そこで、その絶妙な空気感を生み出しているものが何なのか考えたいと思いました。

 

詞における、「君」と「僕」の距離感

madoromi - NEWS - 歌詞 : 歌ネット
詞の中には「君」について具体的なことが何も書かれていないことに気がつきます。同様に「僕」についての説明もない。ただただ「僕」の想いがつづられていきます。状況としてわかるのは、「僕」は「君」が好きで、二人には短くはない期間の、次いつ会えるのかわからない別れの時がせまっていることだけ。*1 二人の関係性については聴く人のイメージにゆだねられています。
この曲を聴いたとき、“手紙”みたいな詞だなぁと思いました。“置手紙”の方がぴったりくるかな?「君」を残して去る「僕」が、まどろんでいる「君」を起こさないようにつづっている置手紙、あるいは語りかけている別れの言葉のような。そんな雰囲気。
そう感じさせる理由の一つは、すでに書いたように「君」に宛てた「僕」の想いのみが語りかけるようにつづられていること。手紙なら第三者に自己紹介や状況説明をする必要はないわけで。もう一つは、詞の中にストーリー的な時間経過がないこと、かなと思います。「こうだったけど、こうなった」みたいな描写はなくて、一気に書き上げたような内容なので。
“手紙”っぽいことは、「君」と「僕」の間にワンクッションはさむ効果がある気がします。“手紙”は「君」に伝えたい「僕」のメッセージであって、そのままの「僕」の内面描写ではないから。

詞を読むまで気がつかなかったんだけど、「きみはきみのままで」の部分だけ漢字ではなく平仮名の「きみ」になっています。そのため、ここだけ「僕」の言葉ではなく、引用のような、定型句やよくあるワンフレーズ的な表現のようにも受け取れる。この言葉を「君」に送る、という感じの。そう思って聴くと、手越くんのこの部分の歌い方がすっと収束しているのがより切ない。

 

ただし、“手紙”っぽくないところもあります。

幻が醒めてしまうまで
せめて グッバイ ah グッバイ ah

「ah」という感嘆詞もあって、ここに一番「僕」の感情があふれている。気持ちを抑えて「君」にメッセージを送っていたけれど、不意にメッセージではなくなる瞬間。
ここの詞って、けっこう不思議な気がします。「せめて」の後に続くのは願望のはず。だけど、続くのは「抱きしめたい」とか「笑って」とかではなく、「グッバイ」という別れの言葉。つまりは別れを告げることもまともにできない状況なのだと思われます。
その前にあるのは「幻が醒めてしまうまで」。ということは「幻」の中でしか別れを告げられない状況、という風に読める。二人は「幻」例えば夢の中でしか会うことができない関係。「僕」は「君」の夢に訪れ、「僕」を想って流がす「君」の涙に心を痛める、みたいな状況なのかなって。
だけど最後に、「頬を濡らした涙は 君の明日を咲かせるだろう」と告げる。そうであってほしいという願いを込め、そっと自分自身に言い聞かせるように。*2

安直な人間なので、二人の関係を裂くのは生死なのだろうと捉えていました。「夢枕に立つ」的な。でもNEWSだけに、「僕」が異次元の存在という捉え方もありですね。アルバム情報を聞くと、なおさらw 「空に浮かべた船」は比喩ではなくそのままの意味で、この曲は“かぐや姫”ならぬ“かぐや王子”の別れの言葉なのかも、なんて。どちらにしろ、ばり切ない。
そして、そういう「君」と「僕」のほんのり間接的な関係の描かれ方が、『madoromi』の空気感のベースになっていると感じます。


NEWSの歌声における、内なる想いと表現の間

『madoromi』の声はやさしい。歌についてもノー知識なのですが、そう感じます。(強行。)
例えば『恋を知らない君へ』のように、あふれる想いを吐露するような歌い方ができるNEWSが、『madoromi』ではとても抑制的に感じます。詞の世界観もあって、届けたい気持ちはあれど、直接強めに訴えかけたいというよりは、寝顔に向けて話しかるような、半分独り言のような、近くに感じる歌声になっている。
まず、各メンバーの歌声が全体的に空気感ましまし。加藤さんの声のあたたかさは安心感。小山さんの息のもれにはささやき感がすごく出ていて、世界観をより鮮やかにしているように感じます。手越くんの声もいい。のびやかでありながら、手越ビブラートはひかえめ。たぶんしっかりしたテクニックのベースの上にあるナチュラル感。*3
もう一つ、やさしい雰囲気を出すのに絶大な効果を発揮しているのがファルセット*4 の多用ではないでしょうか。増田さんをはじめ、声の繊細さが強調されています。

そうやって、抱いている悲しみや葛藤をそのまま押し出すのではなく、どうやって「君」に伝えようかと一息置いてから発しているようなところ。ここにも空気感の元があるように思います。

 

個人的に、ライブでは歌い上げたいところをなんとかこらえてもらって、吐息交じりで歌って!お願い!と念じています。ライブならではの張った声が大好きだから悩むところだけど、この曲だけはやっぱり。是非『madoromi』だけマイクのセッティングを変えていただいて、お願いします。その前に、私はライブに入れるのか?という根本的な疑問は置いておいて。入れなかったら、円盤で見るからさ…(涙)


曲における、歌と演奏のメロディーの関係性(言葉の使い分けがうまくできない…汗)

注:専門的なことが全然わからないから、さらに感覚に頼って書きます。
『madoromi』は、歌声に対して、演奏がいい意味で寄り添い過ぎていないように感じました。例えば、1番の最後、増田さんの「咲かせるだろう」が終わりきらないところで、後ろの演奏は次の展開に移って行ってしまいます。そのため増田さんの「咲かせるだろう」がその場にふわっと残されて、浮遊して消えてゆく感じがする。
2番に入るとリズムも加わって盛り上げつつスムーズに流れていくのだけれど、増田さんの「照らす明かりになる」のところでふっと引いてゆく。1番の同じ部分よりも潔く。さらにその後の押し寄せっぷりが見事。そのタイミングも。
最後の手越くんのパートでも、1回目の「咲かせるだろう」の途中では、増田さんのときのように一足早く次の展開を導き、最後の「咲かせるだろう」では、逆に手越くんのメロディーラインがちょっとしたずらしを入れてくる。定石ではない、ベタさにまぎれない、すとんと落ちきらない感覚が印象に残ります。演奏はここが落ち着いてからすっと現れて、盛り上げ過ぎずやさしくおさめる。
歌のメロディーとは異なるメロディーが奏でられているのも素敵です。1番の「風に吹かれて 見えない場所へ」の後ろでゆるやかに流れるメロディーが好き。浮遊感が出る気がする。

こうした歌と演奏の関係性の“間”というか絶妙なズレのようなものも、外せない効果になっているのかなぁと。(音色とか、きっと他にも色々あるんだろうけど、私の能力ではここが限界だった…。)

 

そんなこんなで、詞、歌声、曲全体がつかず離れずの(…と言うよりは、くっついているけど離れていると言った方が合うかもしれない)絶妙な距離感でいてくれることがあいまって、この空気感が生まれているのではないかと思いました。
まどろめる、これは。間違いない。こんな風に考えるまでもなく。
作詞作曲のKacoさん、編曲のトオミヨウさん、そしてNEWSとNEWSチームのコラボ、すばら。

 

最後になりますが、イントロが舟をこぐ音に思えてならないんです。「空に浮かべた船」は「舟」じゃなくて「船」だから、大型っぽいんですけど、私の中では櫂でこぐような小さな舟のイメージ。掛け合いみたいなピアノとリズムの音が、櫂をこぐ音と舟が進む音のように感じています。イントロ終わりのピアノの高音は、進んでいた舟が目的地に着いて止まったということ、あるいは舟先が船着場か何かに軽くぶつかったところかなぁと想像。迎えの舟が到着したことに「僕」が気付いて歌がはじまる…。
実は、これのイントロについての妄想が、一番書きたかったことだったりしました。(知らんがな案件。)イントロ、好きなんだよね。寝息と鼓動みたいにも聴こえて、それも良いなぁ。(それにはちょっとリズムが速いかな?)

 

って、ああ!『LPS』のジャケットについて書いてなかったことを思い出しました。「かっこいいよ、君ら…かっこいい」これにつきる←誰。なんなんですか、あの決めすぎない決め顔。もう笑っちゃう。口を半開きにするんじゃない!口を!(ほめてる。)LoveにもPeaceにもSmileにも縁が薄そうな雰囲気をジャケットにもってくるところが、一筋縄じゃいかない大人感…なのかなと。

 

よし、これですっきり入国できる。*5 とりあえず良かった。みなさま、ハバナイストリップ!ぼんぼやーじゅ!すてきな旅を!って、遅くなりましたけど。宇宙旅行に出る前に急がなくちゃ。では、行ってきまーす。

 

 

*1:あえて書く必要はないかもしれないですが、短くないと感じるのは、「忘れないで」「ままで」「時をめくる度に 忘れて行く事があっても」「いつになっても宝物さ」「いつか(中略)なる」などの、時を経る表現が多用されているからです。

*2:「僕」は「忘れないで」と言いつつも、「悲しみなんて」と自分の存在を突き放したような言い方もする。「忘れないで」は「僕」自身の願いでもあり、自分の不在を耐えなければならない彼女を支えたいという想いの現われでもあるのかも。ひたすらに「君」をあんじ支えるメッセージの中に、見え隠れする「僕」の想いがつらい。

*3:「風に吹かれて」のところが無性に好き。

*4:で、あっているのか?

*5:と、書いているうちに、色々と考えさせられることがありましたが、それはいったん置いておきます…。