キラキラの方へ。

しがないミソジのゆるふわ雑記

幻が醒めてしまうまで:『madoromi』がまどろめるのは

マイペースに『madoromi』について書いておきたいと思います。入国ラッシュが落ち着いてきたであろう今、…と書いていたらアルバムと連動キャンペーンの情報までがどどっと押しよせてきた今、なんですけれど。実は私まだちゃんと入国してないんです(汗)めずらしく少々立て込んでおりまして、気持ちが持っていかれてしまうと仕事に支障が出るかもしれない…という恐れから。(単に時間の使い方と気持ちの切り替えがヘタなせい。)で、ようやく少し余裕ができたので、ぼやーっと考えたことを入国前に書いておこうと。専門的でも何でもないから、「『madoromi』やばい。」の一言以上の意味があるのかどうかわからないけど、いいじゃないか、素人があれこれ考えても。ってことで、よろしくお願いします。
あ、『madoromi』とはNEWSのシングル『LPS』の通常版に収録されている曲です。(みんな知ってる。)

 

まずは私の感想から。
ざっくり『madoromi』の空気感が好きだなーと思っています。奥底に何か抱えながら、最終的には羽根布団みたいなふわっとした存在感になっているところが、すごく。羽根布団じゃ情緒がないけど、相手を包み守りあたためて、けれども圧はない、そんなところが。まどろみだけに☆(うまいことは言っていない。)そこで、その絶妙な空気感を生み出しているものが何なのか考えたいと思いました。

 

詞における、「君」と「僕」の距離感

madoromi - NEWS - 歌詞 : 歌ネット
詞の中には「君」について具体的なことが何も書かれていないことに気がつきます。同様に「僕」についての説明もない。ただただ「僕」の想いがつづられていきます。状況としてわかるのは、「僕」は「君」が好きで、二人には短くはない期間の、次いつ会えるのかわからない別れの時がせまっていることだけ。*1 二人の関係性については聴く人のイメージにゆだねられています。
この曲を聴いたとき、“手紙”みたいな詞だなぁと思いました。“置手紙”の方がぴったりくるかな?「君」を残して去る「僕」が、まどろんでいる「君」を起こさないようにつづっている置手紙、あるいは語りかけている別れの言葉のような。そんな雰囲気。
そう感じさせる理由の一つは、すでに書いたように「君」に宛てた「僕」の想いのみが語りかけるようにつづられていること。手紙なら第三者に自己紹介や状況説明をする必要はないわけで。もう一つは、詞の中にストーリー的な時間経過がないこと、かなと思います。「こうだったけど、こうなった」みたいな描写はなくて、一気に書き上げたような内容なので。
“手紙”っぽいことは、「君」と「僕」の間にワンクッションはさむ効果がある気がします。“手紙”は「君」に伝えたい「僕」のメッセージであって、そのままの「僕」の内面描写ではないから。

詞を読むまで気がつかなかったんだけど、「きみはきみのままで」の部分だけ漢字ではなく平仮名の「きみ」になっています。そのため、ここだけ「僕」の言葉ではなく、引用のような、定型句やよくあるワンフレーズ的な表現のようにも受け取れる。この言葉を「君」に送る、という感じの。そう思って聴くと、手越くんのこの部分の歌い方がすっと収束しているのがより切ない。

 

ただし、“手紙”っぽくないところもあります。

幻が醒めてしまうまで
せめて グッバイ ah グッバイ ah

「ah」という感嘆詞もあって、ここに一番「僕」の感情があふれている。気持ちを抑えて「君」にメッセージを送っていたけれど、不意にメッセージではなくなる瞬間。
ここの詞って、けっこう不思議な気がします。「せめて」の後に続くのは願望のはず。だけど、続くのは「抱きしめたい」とか「笑って」とかではなく、「グッバイ」という別れの言葉。つまりは別れを告げることもまともにできない状況なのだと思われます。
その前にあるのは「幻が醒めてしまうまで」。ということは「幻」の中でしか別れを告げられない状況、という風に読める。二人は「幻」例えば夢の中でしか会うことができない関係。「僕」は「君」の夢に訪れ、「僕」を想って流がす「君」の涙に心を痛める、みたいな状況なのかなって。
だけど最後に、「頬を濡らした涙は 君の明日を咲かせるだろう」と告げる。そうであってほしいという願いを込め、そっと自分自身に言い聞かせるように。*2

安直な人間なので、二人の関係を裂くのは生死なのだろうと捉えていました。「夢枕に立つ」的な。でもNEWSだけに、「僕」が異次元の存在という捉え方もありですね。アルバム情報を聞くと、なおさらw 「空に浮かべた船」は比喩ではなくそのままの意味で、この曲は“かぐや姫”ならぬ“かぐや王子”の別れの言葉なのかも、なんて。どちらにしろ、ばり切ない。
そして、そういう「君」と「僕」のほんのり間接的な関係の描かれ方が、『madoromi』の空気感のベースになっていると感じます。


NEWSの歌声における、内なる想いと表現の間

『madoromi』の声はやさしい。歌についてもノー知識なのですが、そう感じます。(強行。)
例えば『恋を知らない君へ』のように、あふれる想いを吐露するような歌い方ができるNEWSが、『madoromi』ではとても抑制的に感じます。詞の世界観もあって、届けたい気持ちはあれど、直接強めに訴えかけたいというよりは、寝顔に向けて話しかるような、半分独り言のような、近くに感じる歌声になっている。
まず、各メンバーの歌声が全体的に空気感ましまし。加藤さんの声のあたたかさは安心感。小山さんの息のもれにはささやき感がすごく出ていて、世界観をより鮮やかにしているように感じます。手越くんの声もいい。のびやかでありながら、手越ビブラートはひかえめ。たぶんしっかりしたテクニックのベースの上にあるナチュラル感。*3
もう一つ、やさしい雰囲気を出すのに絶大な効果を発揮しているのがファルセット*4 の多用ではないでしょうか。増田さんをはじめ、声の繊細さが強調されています。

そうやって、抱いている悲しみや葛藤をそのまま押し出すのではなく、どうやって「君」に伝えようかと一息置いてから発しているようなところ。ここにも空気感の元があるように思います。

 

個人的に、ライブでは歌い上げたいところをなんとかこらえてもらって、吐息交じりで歌って!お願い!と念じています。ライブならではの張った声が大好きだから悩むところだけど、この曲だけはやっぱり。是非『madoromi』だけマイクのセッティングを変えていただいて、お願いします。その前に、私はライブに入れるのか?という根本的な疑問は置いておいて。入れなかったら、円盤で見るからさ…(涙)


曲における、歌と演奏のメロディーの関係性(言葉の使い分けがうまくできない…汗)

注:専門的なことが全然わからないから、さらに感覚に頼って書きます。
『madoromi』は、歌声に対して、演奏がいい意味で寄り添い過ぎていないように感じました。例えば、1番の最後、増田さんの「咲かせるだろう」が終わりきらないところで、後ろの演奏は次の展開に移って行ってしまいます。そのため増田さんの「咲かせるだろう」がその場にふわっと残されて、浮遊して消えてゆく感じがする。
2番に入るとリズムも加わって盛り上げつつスムーズに流れていくのだけれど、増田さんの「照らす明かりになる」のところでふっと引いてゆく。1番の同じ部分よりも潔く。さらにその後の押し寄せっぷりが見事。そのタイミングも。
最後の手越くんのパートでも、1回目の「咲かせるだろう」の途中では、増田さんのときのように一足早く次の展開を導き、最後の「咲かせるだろう」では、逆に手越くんのメロディーラインがちょっとしたずらしを入れてくる。定石ではない、ベタさにまぎれない、すとんと落ちきらない感覚が印象に残ります。演奏はここが落ち着いてからすっと現れて、盛り上げ過ぎずやさしくおさめる。
歌のメロディーとは異なるメロディーが奏でられているのも素敵です。1番の「風に吹かれて 見えない場所へ」の後ろでゆるやかに流れるメロディーが好き。浮遊感が出る気がする。

こうした歌と演奏の関係性の“間”というか絶妙なズレのようなものも、外せない効果になっているのかなぁと。(音色とか、きっと他にも色々あるんだろうけど、私の能力ではここが限界だった…。)

 

そんなこんなで、詞、歌声、曲全体がつかず離れずの(…と言うよりは、くっついているけど離れていると言った方が合うかもしれない)絶妙な距離感でいてくれることがあいまって、この空気感が生まれているのではないかと思いました。
まどろめる、これは。間違いない。こんな風に考えるまでもなく。
作詞作曲のKacoさん、編曲のトオミヨウさん、そしてNEWSとNEWSチームのコラボ、すばら。

 

最後になりますが、イントロが舟をこぐ音に思えてならないんです。「空に浮かべた船」は「舟」じゃなくて「船」だから、大型っぽいんですけど、私の中では櫂でこぐような小さな舟のイメージ。掛け合いみたいなピアノとリズムの音が、櫂をこぐ音と舟が進む音のように感じています。イントロ終わりのピアノの高音は、進んでいた舟が目的地に着いて止まったということ、あるいは舟先が船着場か何かに軽くぶつかったところかなぁと想像。迎えの舟が到着したことに「僕」が気付いて歌がはじまる…。
実は、これのイントロについての妄想が、一番書きたかったことだったりしました。(知らんがな案件。)イントロ、好きなんだよね。寝息と鼓動みたいにも聴こえて、それも良いなぁ。(それにはちょっとリズムが速いかな?)

 

って、ああ!『LPS』のジャケットについて書いてなかったことを思い出しました。「かっこいいよ、君ら…かっこいい」これにつきる←誰。なんなんですか、あの決めすぎない決め顔。もう笑っちゃう。口を半開きにするんじゃない!口を!(ほめてる。)LoveにもPeaceにもSmileにも縁が薄そうな雰囲気をジャケットにもってくるところが、一筋縄じゃいかない大人感…なのかなと。

 

よし、これですっきり入国できる。*5 とりあえず良かった。みなさま、ハバナイストリップ!ぼんぼやーじゅ!すてきな旅を!って、遅くなりましたけど。宇宙旅行に出る前に急がなくちゃ。では、行ってきまーす。

 

 

*1:あえて書く必要はないかもしれないですが、短くないと感じるのは、「忘れないで」「ままで」「時をめくる度に 忘れて行く事があっても」「いつになっても宝物さ」「いつか(中略)なる」などの、時を経る表現が多用されているからです。

*2:「僕」は「忘れないで」と言いつつも、「悲しみなんて」と自分の存在を突き放したような言い方もする。「忘れないで」は「僕」自身の願いでもあり、自分の不在を耐えなければならない彼女を支えたいという想いの現われでもあるのかも。ひたすらに「君」をあんじ支えるメッセージの中に、見え隠れする「僕」の想いがつらい。

*3:「風に吹かれて」のところが無性に好き。

*4:で、あっているのか?

*5:と、書いているうちに、色々と考えさせられることがありましたが、それはいったん置いておきます…。

生きることをやさしく肯定する:『LPS』収録曲の相乗作用

やることが終わってないんだ…。だけどガマンできない!ってことで書きます。ダメな大人也。

 

NEWSのシングル『LPS』。表題曲の『LPS』は「”愛・平和・笑顔”をテーマにした本作はNEWS史上最も”ピース”な一曲」「等身大で暖かな応援歌」と宣伝文句にありました。『U R not alone』を経たから歌える曲だと。

確かに「応援歌」であると思った。「”ピース”な一曲」でもある。それは間違いない。

けれどなんとなく落ちきらないものを感じていました。この曲のテーマ”愛・平和・笑顔”が意味するのはなんなのか?と。確かに詞にはある。けれど、なんとなく漠然としているなぁって。

異を唱えているんじゃないんです。ただ、言葉だけだとずいぶん大きなテーマ。それと「等身大」との重なり具合が消化しきれていなかったのかもしれません。

それで、『LPS』は何を応援しているんだろうって考えました。

『LPS』が応援していることって、少なくとも、何かの勝負に勝つこと、夢をかなえること、両想いになること等々、「自分が得ていない何かをGETしろ」という方向性の”応援”ではないように感じます。

言葉出せなくたって

想い届くんだなって

カタチは悪くたって

自分らしくいようって

努力至上主義の中ではこうした表現にはならないはず。

そうして思い至ったのが、『LPS』が応援しているのは「生きること」そのものじゃないかってことでした。

心帰る場所なんてなくて

もがくばかりで疲れ果てた道

それでも希望は胸に

”くそったっれ”はゴミ箱に

大丈夫。なんとかなるから

「希望をもって生きること」。これは「夢をかなえようと生きること」とは似ていて非なるものだと思います。

 

ここでちょっと一人語り。人がどうやって生きていくのかというふわっとした話。

「夢をかなえようと生きていく」、それは自分があきらめさえしなければ可能だと思います。あるいは、夢のスケールダウンしていけば、身に程よい夢を持てば、いつかはと思いながらずっと生きていくこともできる。実は私はそういうタイプ。消費期限のない漠とした”夢”だから、環境に甘えているんですね。

でも、そうしたことだってできなくなることもある。

私がずっと印象に残っている言葉に2012年の24時間TVで松本潤さんが指揮者として参加した石巻好文館高等学校吹奏楽部のたしか部長さんが松本さんに読み上げた手紙の一説があります。

「この先に何が待っているかはわからないけれど、未来を信じて、私たちは故郷の復興とともに進んでいきます。」*1

私が衝撃を受けたのは「この先に何が待っているかはわからないけれど」という言葉でした。(私は「これから何があるかはわからないけど」と覚えていたけど。)人が”夢”を語るとき、たいていは不確定要素は度外視している。自分が努力すればかなうんだっていう前提のようなものの上に立って語ります。だけど自分が想定していなかったことが起こることを、彼女たちは歳若くして体験させられた。それが、この手紙に端的に現れていると思いました。

”夢”をずっと変えずに生きていける人もいるだろうけれど、どうしても変えなければいけなくなった人もいるかもしれない。そして思い描いていた”夢”を奪われた人だって。

災害、事故、事件…。そんな大変なことでなくたって、自分を取り巻く状況が一変することはあります。

そうした場合、何が何でも元の”夢”に戻らないといけないの?って思うのです。そうでなければ、自分は”夢”をあきらめたんだって思いながら生きなければならないの?”はずれ”の人生だったって思わなければならないの?*2

そんなことは絶対にない。生きていることは肯定されるべき。

「未来を信じて」「それでも希望は胸に」。

そして”夢”は、きっと、いずれ、必要なときが来たら、新しく描かれる。それはあきらめじゃなく、堕落でもなく、消極的なことでもなんでもなく、とても力強いことだと思うのです。

「希望をもって生きること」と「夢をかなえようと生きること」とのニュアンスの説明になっているかわからないけど。自分に主軸があるか、”夢”に主軸があるかの違い、なのかな。※『いつでも夢を』のような”夢”は”希望”と同義であると思います。

 

でも、この曲は力強く高らかに宣言するようなタイプではないですよね。ものすごい大きな困難にぶち当たったときの曲でもない。

もっと日常に、ささやかに、やさしく、寄り添っている。

この曲に出てくる「世界中」も、一般的に「世界平和」というような言葉にあるイメージとは異なるように思えます。そうじゃなくて、生きていることで感じられる「世界」、生きることそのものに対する祝福のような。『LPS』において”愛・平和・笑顔”が意味するのは、人が人らしく生きること。そんな気がしています。

ころんでしまったときも、足を休めているときも、遠回りしているときも、少し後戻りしているようなときも、生きることを肯定する。そんなことを感じられる応援歌を阪神淡路大震災の起こった日に発売したNEWS制作陣もコンセプチュアルです。

そういう意味では『U R not alone』を経たからこその、存在自体の肯定に至ったということになるのかもしれません。テーマは大きいけれど、足元の曲。 


実は、最後に聴いた『madoromi』によって、『LPS』の形が私の中でぐっと立ち上がってきました。『madoromi』を聴いた後、改めて『LPS』に収められている曲すべてが「生きることをやさしく肯定している」と感じた。そんな視点で、ちょいと感想を書いておきたいと思います。

 

『LPS』

作詞はヒロイズムさんとHacchin' Mayaさん。Hacchin' MayaさんってNEWS曲をいくつも手がけておられますが、『ポコポンペコーリャ』もなんですね!肯定感が重なる気がします。実は『ポコポンペコーリャ』の世界感大好きなんでえへえへしました。*3

「Wa la la la」が主で、NEWSメンバーが歌う部分が( )内なのすごくないですか?「Wa la la la」を観覧の方々が歌うのを見て、すんごいぐっときてしまいました。あの空間、超ピースフル。

個人的には増田さんの「”くそったれ”はゴミ箱に」がハイライト。最後がすっと終わるのも良い。

 

「生きることの肯定」という視点において、外せないのがMV。『LPS』のMVはナチュラル感がすごい。加藤さん→田向潤監督への流れはどんなものだったのだろう?

まず、朝日で撮るって天才じゃない!?って思いました。朝日は希望。本当に良く晴れた(笑)

それと、海辺を歩くワンカット撮影。*4 屋外で、自然光で、隠れるものがない状態での。その効果で、一人ひとりの空気感や、4人で一緒にいるときの雰囲気が感じられる気がします。それが自然体や等身大といった曲のテーマを、視覚的にも伝わるものにしている。

『NEWSICAL』の贈り物とつながるオブジェを形作っているのは、元々は”何か”だった物たち。いったん解体され、バラバラになり、かけらになった物が再構築されて、新たな形になって命を得る。そんなイメージがわきます。しかもハートの形。「心帰る」のは建物とかの具体的な”場所”じゃなくって、気持ちのやり取りや記憶といった”ハート”なのかな。

なんでCMとかになっていないんだろう?保険のCMとかに使おう? 

 

『NEWSICAL』

『LPS』の希望をよりかわいらしく楽しく。

あふれる幸福感が、もうそれで肯定。「だって X'mas time」だし。それでもっていってしまえる幸福がクリスマスにはある。「生きていると幸せ喜び悲しみ 色んなものが降りそそぐ 明日への希望、それこそが今日の喜び X'masはそんな日だ」。加藤さんが『NEWSICAL』のストーリー制作を話し合う際に、ホワイトボードに掲げられていた「軸となるテーマ」。これだな、って思います。

色々言いたいところなんだけど、別脳使わないとならないので、とりあえずハロウィーンターンの『BYAKUYA』感を。『BYAKUYA』の演出の物語っぽさが『NEWSICAL』企画の呼び水になったりしていそう。

 

『チェリッシュ -Represent NEWS Mix-』『真冬のナガレボシ -Represent NEWS Mix-』

聴く前に勢いにまかせて書きましたが、こうして『LPS』の収録曲にはさんで聴くと、改めてはまり具合がなんとも言えない。

『LPS』全体で聴く前は、この2曲から感じるあたたかさを「感情の深み、複雑さ」と表現しました。でも、こうして通して聴いてみるとそれだけじゃない。根本的に人に対する気持ちがあたたかいんだなぁと。しつこくて申し訳ないけど、つまりは存在の肯定。両思いの人にも別の道を選んだ人にも、そして自分自身に対しても。やさしい肯定感がしみます。

歌い方には自然体な雰囲気が増しているような気がしました。ぬけ感のようなものが。『チェリッシュ』は手越くんの優しい声にキャパオーバーしそう。声が流れるように混ざり合うのも心地よい。『真冬のナガレボシ』すごく良い曲ですね。『チェリッシュ』にしか反応していなかったのを反省する。全体の勢いのようなメリハリのようなものがすっきりしたように思いました。以前の曲には丁寧さを感じる。だから、以前の曲では君への想いをまだ忘れられずにいる雰囲気を、今回の曲では幸福な思い出へと昇華していっている雰囲気をより感じるような気もします。

ずっと歌ってきたからこその変化でもあるのだろうな。

 

『madoromi』

この曲が『LPS』というシングルをより濃く性格付けていると感じました。

君を好きなこと

また会えるまで 忘れないで

僕が隣にいなくても きみはきみのままで

君と出会えた日は

いつになっても宝物さ

頬をぬらした涙は

君の明日を咲かせるだろう

圧倒的な肯定につつまれる。

一緒にいてもいなくても、記憶の中でも、いつまでも。

「空に浮かべた船」「見えない場所」といった、そこはかとない永遠の別れの香りも、切なさと共に、それでも生きて会えたことの幸福を呼び起こします。

 

そして、この曲が一人ひとりの声を届けることに徹していることも一つの強いメッセージ。個々がいきている、一人ひとりとして大切にされている、って言うとありきたりな表現になってしまうけれど。NEWSならではの表現として定着してきているのですね。

1番での増田さんのグッバイは2回ともファルセットで儚くやさしく、そして2番の手越くんのところは1回目はファルセット気味で2回目はストレートにそのままで力強く行くところ、本当に好きです。小山さんの歌唱部分は、そんなこと言わないで…って思うほど切ない。*5 加藤さんの歌声には安心感がある。

作詞・作曲のKacoさんが入れてくれていた歌声はどんなだったんだろう。Kacoさんの声も素敵だから聴いてみたくなりました。最後の「咲かせるだろう」だけ音が異なるのもすごく良い。*6

アレンジでは、1番の「きみはきみのままで」の間にはピアノが何度か入るのに対し、2番の同じ部分「照らす明かりになる」では途中のピアノが省かれていて、弦楽器(だよね?)でのじわじわとためて集約感が増していくところが好き。最初、1番と2番が違って聴こえるのが不思議でした。*7 ちなみに「きみはきみのままで」だけ「君」じゃないの、なぜなのでしょうね。なんとなくセリフっぽい定型句的印象が増すような…。色々に受け取れそうな気がします。 

詞とメロディ、繊細なアレンジ、NEWSの歌声があわさって、全体から何かがあふれ出している。 

 

『madoromi』には応援という言葉より、支えてくれるという言葉が合いそう。私には「応援歌」ならぬ「よっかからせてもらう歌」というのが何曲かあって、気分が落ち込んでいるときには、そこでしばらくぐったりさせてもらっています。ただ、そばにいてもらう曲。起き上がらせようとはしないで、ただいてくれる曲。『madoromi』もそういう曲だなぁと思いました。まどろんで聴いているよ。

余談ですが、『madoromi』を聴きながら夜の繁華街を歩くの、良かったです。日が暮れた新宿の歌舞伎町を歩くということがあったんです。いかにもなシチュエーションだけどねらったわけではなくて。行きは『madoromi』とのギャップを楽しんでいただけだったのですが、帰り道にぶわっとイメージが広がりました。機会があったらやってみていただきたい。

映画の主人公になったような気分になります←。

それは最後のシーン。主人公はこの曲の語り手である”彼”が亡くなったこと、あるいは二度と会えないことを知らないでいて。でも、”彼”との思い出はとても大切なものとして心に留めて支えにしていて。*8 あるいは、もう記憶ははっきりしないのだけど、あたたかい面影として残っていて。そして”彼”は、自分が死ぬこと、あるいは一緒にいられる時間が限られていることをわかっていながら、それを隠して主人公を支えていた。その後二人は別々の道を。主人公は、”彼”との記憶をそっと胸に、都会の喧騒の中で現実に向かって一人強く生きている。…そんなちょっとビターな映画。(我ながらなんてよくわからん説明。)

『madoromi』が似合うシチュエーション選手権があったら、海も間違いない。海に行く機会があったら聴いてみたいです。

 

 

と、いう訳で、どっこも逃せないです。『LPS』は。初回AのMVも、初回BのRepresentも、通常版の『madoromi』も。MVメイキングもカラオケも書ききれなかったけど、発見がある。

『LPS』は全方位肯定*9。全てが『LPS』というシングルの性格を形作っていると感じました。個別でももちろん良いけれど!

疲れている人には特に聴いてみてほしい。こうやって肯定されると、逆に「あぁがんばりたいなぁ」なんて思ってしまう。甘やかされてるなぁって。安心してぐっすり眠って、「じゃぁ、そろそろ行こうかなぁ」ってゆっくり歩き出せる気がします。

 

そして最後に。ちょっと「やべーヤツ」になります。*10

私自身はこのやさしさに値する人間だろうかと考えてしまいました。

私はこんなにあふれるやさしさを享受できるような人間じゃないなぁって。

これは彼らの自己実現であって、ただありがたくそれに与れば良いんだって言えばそれはそうかもしれない。でも今回の愛はとてもとてもやさしくて。やさしさのミストで包まれているようで、どこで息を吸えばいいのかわからなくなるくらいなものだから、いたたまれなくなるのです。『NEVERLAND』のソロでぶつけられた愛とも、また違う感覚。

あと、こうしたやさしさをNEWS自身はもらってるかな?って。小山さんのこととか、心配になるよ。ってなんだか、痛い気持ちが発生しました。私に心配されるような、やわな人たちじゃないってわかってはいるけど。

私はちゃんとした「ファン」じゃないから、彼らに返すとかっていう意識も乏しいし、今後もそうだと思う。関わり方にだって波があるし、たぶん変わってもいく。

それでも、今は彼らに伝えたいなぁ。

素敵な曲をありがとう。

 

あとね、ライブに行きたいです!←

 

*1:映像撮っていなかったので、いくつかのブログで確認させていただきました!こんな素敵なページもあったんですね。→第10回 吹奏楽部「24時間テレビ」武道館で演奏 – 宮城県石巻好文館高等学校 もちろん、石巻好文館高等学校吹奏楽部の皆さんと松本さんの挑戦が素晴らしかったことは言うまでもありません。

*2:『anone』要素を入れてみた。

*3:あと、Hacchin' Mayaさん作詞の『Wake Up』は「ため息で始まる 今日という連続」でスタートするんですね。ため息で始まって、ため息で幕降りるって、どんだけ「ため息」が好きなんだ、と。(違う)

*4:歩くワンカットMVとしてぱっと思い出したのは嵐の『復活LOVE』。(見直したら全然ワンカットじゃなかったけど汗)比較してみると、アプローチの違いがわかりやすかったです。いやーメイキングがおもしろいw

*5:by『逃げるは恥だが役に立つ』の風見さん

*6:『愛の賛歌』に重なるのはすごくわかる。『愛の賛歌』くらい有名な曲であれば、本歌取り的なことなのかな。ちょうど『越路吹雪物語』も放送中だしね!

*7:編曲のトオミヨウさん、土岐麻子さんの曲も手がけているのですね。なんだかうれしい。Cymbals世代で、その頃からたまに聴かせてもらっているので。

*8:あかん、また『anone』が。

*9:『全方位全肯定』はGOING UNDER GROUNDのライブイベントの名称。(急にぶっこんだ。)キセルとミツメとのライブを再調整してもらえるとうれしいなぁ。でもって、彼らまで今年がCDデビュー20周年って。『かよわきエナジー』はMDに入れて何度も聴いた。自分の年代を感じる(汗)

*10:by『監獄のお姫さま』の大門さん

光について:2017年のアイドルと(NEWS編)

2017年の備忘録「光について」シリーズ。

2003年結成で今年15周年を迎えるアイドル、もう一組はNEWSです。

NEWSと言っても、今回”光”にからめて書きたいのはある衣装について、ピンポイントです。ちなみに!私ファッションについての専門的知識をまるで持っておりません!なので語り口も言葉もファッション的なものにはなっていないです。一素人の感想と妄想にて失礼します。

 

Negiccoがアイドルを「月」に例えましたが、衣装と演出で自分たちを「月」のように表現して見せたアイドルがNEWSです。(私が見ているアイドルの範囲は大変狭いので、他にいないということではありません。)

NEWS関連で読んでくださっている方にはもうお分かりかと思いますが、2016年のライブ『NEWS LIVE TOUR 2016 QUARTETTO』でのこと。ご存知『I・ZA・NA・I・ZU・KI』の衣装です!

ファッションに関する知識ゼロなもので、他の方のブログから学ばせてもらっている立場で書くのも本当に恐縮なのですが、ご存じない方もゼロではないと思うので一応その衣装について補足します。

まずはこちらの動画をご覧ください。10:50あたりから登場するシリーズがQUARTETTOの『I・ZA・NA・I・ZU・KI』衣装に提供いただいたのではないかと言われている技術です。白い衣装に光が当たるとカラフルな模様が立ち上がるというものでした。

www.youtube.com

こちらの映像は2003年設立の日本のファッションブランド、ANREALAGEの2016年春夏コレクション『REFLECT』。

それ以前の2015年の秋冬コレクションでも、すでに『LIGHT』というテーマで特殊な紫外光を当てると柄が浮き上がる真っ黒な服を制作しているのですね。「光を照らすと一瞬にして現れる鮮明な色柄には、闇夜に見る夢や、闇に隠された誰も見たことがないものに光を当てるという意味を込めた。」*1 というコレクションテーマの言葉はそのまま『I・ZA・NA・I・ZU・KI』を想起させます。

Get Away 月夜に 隠れて Be silent

はかなげに 照らす月 今宵だけの 光放つ

いざなう 夢に咲く We just can Get Away

『I・ZA・NA・I・ZU・KI』で描かれるのは月夜。そして闇。あやしく光る月に狂気を呼び起こされたかのように強く惹かれあってしまう二人。そういうイメージを視覚化できることを直感し、実現できたことがすごいと思います。*2

私はQUARTETTOのライブを直接見ていません。なので映像化されている部分しかわからないのですが、この衣装は『I・ZA・NA・I・ZU・KI』の時だけの衣装なんですよね?つまりは『I・ZA・NA・I・ZU・KI』だけのためのスペシャル衣装。QUARTETTOのライブ映像通常版にはメンバー一人ひとりを追ったドキュメンタリーが入っていて、この衣装については増田さんのドキュメンタリーに詳しいです。ANREALAGEのデザイナーである森永邦彦さんも映っていて、衣装のイメージを確認し、浮き上がる柄や衣装の形、個別の柄について打ち合わせ、衣装の布をサンプルとして貸し出し(増田さんが特殊加工の黒い布に照明を当てて確認するシーンがあるので)、衣装を搬入し…と直接携わっていたことがわかります。増田さんのドキュメントが『I・ZA・NA・I・ZU・KI』衣装をメインに取り上げていることも影響しているけれど、増田さんが演出を何度も確認し手を加える様子からも、熱の込めようがうかがえました。

 

なお、もう語られつくしていると知りながらも一応書いておくと、QUARTETTOの衣装は「光をどう表現するか」を、視覚的・意味的に様々な方法で試みたシリーズと言えるのではないかなーと思っています。もっと具体的に言いかえると「ありきたりな素材や方法を使用せずに、衣装にどうきらめき与えるか」となるでしょうか。この言い方は、あえての茶色やデニムという素材使いについて語るとき、増田さんがよくしていた記憶があります。そして、それは他の衣装についても言えるのではないか、と。例えば、蛍光イエローの衣装は”色”が光を表現しています。それらは視覚的な試み。そして、意味的なアプローチをしているのは、星座でもある四神を表した登場時の衣装*3 や、『星の王子さま』を表現していると思われるデニムの衣装*4。他の衣装についても、それぞれ宇宙や星々といった、光に関連するモチーフを衣装に盛り込んでいるのかもしれないなぁと思います。そして、『I・ZA・NA・I・ZU・KI』の衣装は視覚的にも意味的にも、光と闇をみごとに表現していました。

ただし各衣装の形や素材の由来にどういう意味がこめられているのかは…ちょっと私の脳みその範囲外過ぎて(汗)こだわりがつまった大事なところだと承知しておりますが、申し訳ない!他の方の考察を読んで学びます!

 

と、前置きが長くなりましたが、これは2016年のこと。私が2017年のこととしてピックアップしたいのは、そう、NEWSICALで披露された鏡を使った衣装です!ご存知カウコンでも着用の!2017年をしめくくった”光”の衣装と言ったらこれしかない!!

ちなみに『NEWSICAL』とは、FNS歌謡祭でショートバージョンが、関東では2017年12月25日に1時間の特番としてフルバージョンが披露された、NEWSの NEWSによる NEWSファンのための(?)ミュージカル。その後半にNEWSがまとっていたのが、増田さんデザインの鏡を素材にした衣装でした。*5

 

NEWSの鏡の衣装

新たな”光”の試みにぐっとくる

この衣装でまず目に飛び込んでくるのは、四角と三角の鏡の列ではないでしょうか。異なる種類のキラキラ系の布地を左右と真ん中合わせて3種は使っていると思われ、全体が輝いているのですが、鏡まるごとの部分は飛び抜けてまぶしい。細かいきらめきの集合体ではなくて、まんま「反射」だから。( ↓ 左が発想時の図、右が最終形に近い図*6。肩から下がっている大きな三角と四角の帯が鏡で作られていました。左から右の図にいたるまでに、どのくらいの推敲があったのだろうと思う。*7

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鏡の衣装のアイデアスケッチ

この衣装を見たとき、「ありきたりな素材や方法を使用せずに、衣装にどうきらめき与えるか」という試みの直系にあたる衣装だと感じました。素材として「鏡」を利用するというのはシンプルな展開ではあるかもしれません。光を反射するっていうのは輝きの基本なので、そういう意味では原点に戻っているとも言えるかも。でも、あのサイズで鏡をまるっと使うことはきっと新たな試みだったんじゃないかなと思うのです!(2017-18のカウコンで先輩方が衣装の鏡をのぞいて髪型なおしたりしたそうですが、そうやっていじられたってことは珍しい衣装だったってことだよね!?)

鏡を使おうと思った動機については、増田さんがJ-webとラジオ*8 で、照明が鏡に反射して衣装の色が変わることをねらってのことだった、と言及していますね。月と鏡って、受けた光をかえして輝くという意味では重なるのだなぁ。結局ねらっていたタイミングでは着用しないことにはなったものの、その発想に全私が拍手喝采!

 

アイドルと「鏡」の組み合わせがエモい

それにね、増田さんがどう思っているかはわからないけれど、鏡ってとてもおもしろい素材だと思うのです!

光を反射し世界を映しこむこと、その世界は左右が反転していること、またそれを映りこみとして認識できる動物は限られていること…。そうしたことから、鏡は古くから力を宿したものとして扱われてきました。神話の頃から現代まで、魅惑的な鏡が登場する物語はつきません。もともと好きな素材なんですが、書くに当たって調べてみたら、さらに興味がわきました。「鏡って本当にいいものですね~」って水野晴郎さんばりに言いたくなる。個人的には美術作品の素材として使用されているのを見るのも好きです。屋外だから鏡、みたいなのは少々安直かなと思いつつも…やっぱり目をひく。

そんな鏡!を!増田さんが!ってだけで、私はもうテンション爆上がり。そう言えば、NEVERLANDライブの際に、影を表現している『ミステリア』のダンスにもテンション縛上がりでした。「影」とか「鏡」とかの比喩に萌えやすい性癖みたい。

 

そして、鏡をアイドルが着用することは、Negiccoが自分たちを「月」に例えたくらいエモいと思いました。「エモい」って便利すぎる言葉だと思うけど、ここは是非そう言わせてもらいたい。

なぜなら「アイドル」って「鏡」のようなところがあると思うのです。「見る人によって様々に姿を変える」という意味で。「アイドル」には「偶像」という意味があるように、他者の思い入れを強く受ける存在。互いの関係が直接的じゃなくても、多くの他者から一方的な興味関心を向けられ、他者の数だけイメージが作られていきます。これはアイドルに限ったことではないけれど、見られる量も質も一般人とは全然違う。

ファンと一口に言っても異なる人間。入手している情報も違うし、それ以前に、経てきた人生も違い、生きている文化も違う。だから、アイドルもその人なりの見え方をしている。そういう意味で、誰かに見える「アイドル」像はその人自身にしか見えない像であり「鏡」だなぁと。ドラマ『 99.9-刑事専門弁護士-』の第1話で深山氏(松本さん)が「真実っていうのはさ、100人いたら100通りあるものなんだよね。でも、起こった事実っていうのは、一つだけ。」って言ってましたが、まさに何万通りの真実の姿がある。

アイドルだって、他者がどんな風に自分を見るかまでは制御できないわけで、ある程度は見る人に任せることになる。その心持ちは信頼なのか、あきらめなのか、悟りの境地なのか、無関心なのか、そのマーブルなのか。

こんな風に考えると、なんだか悲しい気持ちにならなくもないですが、ポジティブにも捉えられると思います。アーティスト、オラファー・エリアソンの「“現実は主観次第”これはアートに限らず全てに言える。現実は見る者の見方で決まるんだ」*9 というのはポジティブなイメージの開放。作品どころかパーソナリティを開放しているアイドルってすごい精神力だと思います。きっと色んな媒体に、これでもかって自分をぶつけてくれているんだろうな。ファンが悲観的になっている場合じゃない。

そして、鏡を着ているアイドルってすげーなって思うのです。切なくも、ポジティブ。だから「鏡」×「アイドル」はエモい。

なんておもしろいんだ!おもしろいよ!増田さん!!

「IDOLS」ってプリントされた服を着るアイドル増田さんもおもしろいよ!(ついで)

 

もし、ニキ・ド・サンファルとつながっていたら

ここまで「鏡」な状態で使うなんてファッション的にも珍しいのでは?と思いました。*10 しかし、私はあまりにファッションを知らない。そこで、ググってみたところ、気になるコレクションが2つ出てきました。

1つ目はMaison Margiela(メゾン マルジェラ)の2018年春夏コレクション。

Womenswear - SS18 Show - Look 34 | Maison Margiela

2つ目はDior(ディオール)の2018年春夏コレクションです。

www.dior.com

Défilé Prêt-à-Porter Printemps-Été 2018 - Timelapse | DiorTV←メイキングが楽しい。

 

2018春夏のコレクションが出てきたのは、きっと新しい情報がヒットしやすいからなんでしょうね。これ以前の鏡を使ったコレクションについては、私の検索力ではわかりませんでした。ファッション界における鏡素材活用の歴史を知りたい…。

ちなみに時期的には、どうなんだろ?増田さんが見た可能性はあるのかな?…うん、わかりません。←

でも、もしディオールの コレクションの空間を増田さんが見てインスピレーションを受けたのならちょっとおもしろいかも、と思いました。それは、コレクションのイメージの源になったのがアーティストのニキ・ド・サンファルだから。

 

ニキ・ド・サンファルについては

ニキ(Niki de Saint Phalle)について | Niki Museum Gallery

「タロットの庭」の公式サイトはこちらかな?Home - The Tarot Garden Official Website

Video Clips - The Tarot Garden (il Giardino dei Tarocchi)の「VIDEO CLIPS」ページ左下の女性が映っている映像が参考になるかもしれません。2:30あたりから、鏡をモザイクのようにはめ込む男性の職人さんの様子が、3:10あたりから鏡のモザイクの柱が映っています。

 

私の抱いていたニキのイメージは「ナナ」シリーズのイメージ*11。鮮やかな色、豊かな体型の女性像。友人の妊娠をきっかけに生まれた作品だとか。生命力にあふれ、自由でおおらかな印象を与えます。彼女が鏡を使用している意味については私は調べられていないのですが、少なくとも「ナナ」シリーズのニキ作品は、鏡の衣装を着て歌った『LPS』の「愛・平和・笑顔」というテーマとの親和性が高いのではないかと思いました。 

でもニキは複雑な背景をもった人でもあるんですね。それは知らなかった。だから、気安く『LPS』とイメージが重なるとかって言えないけれど。そういう背景があるからこそ、自由や愛への渇望が強く、作品にもその熱がこもって、見る側が無意識にそれを受け取れるほどの作品が生まれたのかもしれません。そんな熱が、ニキ→ディオール→増田さんって、つながっていたのだとしたらなんだかすごいなぁと。そして衣装を見た人や曲を聴く人がさらにそれを受け取れたら、なんて。そう思うと、全く関係なかったとしても、どうしても書いておきたい気持ちなってまいました。でも、増田さんのインスピレーションが全く異なるところから来ていたとしても、それはそれでおもしろがる予定です!増田さんが見てきたもの感じてきたものの結晶であることは変わらないしね。

当日追記:増田さんはパッチワークの衣装をよくデザインしているので、この衣装は鏡をハッチワークするという方向からの発想なのかもしれない。それが、表面がモザイク的なニキ作品と偶然ビジュアルとして交わった、という可能性も。

本日発売の『LPS』も今のNEWSだから歌える、とメンバー自身が言っている曲。NEWSのことをよく知らない人にも、NEWSが歌うことで何かが伝わる曲になっていることと思います!かく言う私も、NEWSが色々あった時期を情報でしか知らない一人。どんなことを感じられるのだろう?(『LPS』までにこの記事を間に合わせたかったのに、当日になっちゃたよー涙)

 

そうそう、Negiccoの『愛は光』にぐっときたのは、NEWSを見ているからかもしれないなぁと、ふと思いました。違う歴史ではあるだろうけど、同じようにファンと一緒に色々乗り越えてきたアイドル同士。だから、ファンを「太陽」と表現する想いにもなんとなく共感してしまう。NEWSにとって「太陽」となったファンの人たちとNEWSとの関係、私が心惹かれたのはそうしたものをまるっと含めた”NEWS”なのかも、と感じたりします。そうしたまるっと含めた方々にも言いたい、15周年おめでとうございます。

 

 

そして、NEOサンタはポップさ爆発

光をキーワードにしたため取り上げていませんが、NEOサンタクロースの衣装もおもしろい!初見では度肝を抜かれました。

ちなみに私の第一印象は「天下一武道会味ある…。サンタは肉体労働だから??」でしたが、肉体労働できる動けるサンタというイメージはやはり増田さんの中にもあったもよう。それと、クリスマスをハロウィンから取り戻すっていうお話だから、強くないとっていうイメージもあったのではないかしら。

身体の上に身体をかたどったものを着るっていうのもおもしろいし、逆三角を強調してムキムキ感をアップさせるファーのボリュームも絶妙だなって。そしてブーツについても他の方のお話を拝読し「おお~」となりました。私はそれ以前に足袋状になっていることにもまるで気がつかなかった(汗)節穴…。個人的には身体の部分の制作過程が見てみたいですっ。

サンタのイメージって強いので、中途半端にやっても「アレンジ」程度にしかならないのだろうなと思うのです。でも増田さんのサンタは増田さんオリジナルとしか言えないものになっていた。「増田さんが思うサンタ」「インパクト」というオーダーを見事に仕上げたなーと。『NEWSICAL』のスパイスとして効いてるなぁと思いました。かわいいとかかっこいいとか一般的なアイドルイメージにおさまらないクリエイティビティを発揮するアイドルNEWS。それぞれのメンバーがおさまりきらない感をあふれさせていましたが、増田さんは衣装でそれを実現していました。

かつ増田さんの衣装はポップさを失わない!!ちゃんとアイドル!!

 

 

実際の『LPS』の衣装はカジュアルですよね!NEVERLANDではファンタジー方向に振ったので、次のアルバムは”等身大”な感じになるのかなー?どうなんですか?(誰に)

NEWSのパフォーマンスと共に最新NEWSコレクションが見られるライブに、今年も1回は行けますように!と言霊を飛ばして終了といたします。あ、15周年ライブもあるならばそちらも!

 

 

最後に、中村一義さんで『君ノ声』を。書いている途中で思い出しました。歌詞を見てもらえたら、なんで思い出したか伝わる!はず!

君ノ声 - 中村一義 - 歌詞 : 歌ネット

中村一義さんは2017年にデビュー20周年を迎え、セルフカバーアルバムを出しています!GRAPEVINEに続き、こちらもご縁だねってことで。

2種貼ったのは、視聴で別の部分が聴けるから。某所でも聴けるけど、公式じゃないっぽかったので貼れず。ご存じない方はぜひ聴いてほしいです。ずっと、好きな曲。

tower.jp

tower.jp

 

*1:ANREALAGE OFFICIAL ONLINE SHOP | ANREALAGE OFFICIAL | COLLECTION

*2:元々提案したのは加藤さんなのかな?で、増田さんに伝えて、やろう!ってことになって、増田さんが進めていった、と。

*3:これも他の方の考察を拝読し「すげー!」となった。すばらしき発見。

*4:加藤さん:サン=テグジュペリ第一次大戦で普及したというトレンチコート、固めな色味、Tシャツに軍人っぽい人物)、手越くん:王子さま(肩章、Tシャツと上着のたくさんの星モチーフ)、増田さん:花(チューリップモチーフがたくさん、Tシャツは星一つ)、小山さん:キツネ(ファー、刺繍は猫なんだけどさ…)、かなぁと。

*5:増田さんは「ミラー」と言ってましたが、ここでは「鏡」と言わせてもらいますね。

*6:『NEWSICAL』映像内より NEWSICAL - フジテレビ

*7:さらに形になるまでにも、いくつもの課題と工夫があったはず。本当に形にしてくださった方々があってこそだなぁ。増田さんがJ-webやラジオで度々感謝の言葉を口にしていたけれど、私の分も上乗せさせていただきたい。

*8:『増田貴久の○○』2017.12.25、『増田貴久 MASTER HITS』2018.1.5 「キラキラの衣装は、あの、元々その内容的にハロウィンの、ハロウィーンですね(イントネーション変える)、ハロウィーンのそのシーンでクリスマスがハロウィンにのっとられちゃって、みたいななんとなくのこのストーリーだけ聞いて、そこで、こう僕はミュージカル中にじゃあ色が変わる衣装がいいなみたいに思って、ミラーをこうね貼って、照明がこうオレンジとか…の照明が当たったら、こうちょっとハロウィンの服に見えるかなと思ってあれはつくり始めて(続く)」

*9:オラファー・エリアソン 視覚と触覚』パンフレットより

*10:相葉さんのミラーマンは衣装じゃないしね。久々に思い出した。見たいw

*11:参考 Catalog Raisonné Project - Niki Charitable Art Foundation